仕事をとれるフリーランスWebデザイナーに共通する6つの思考

仕事柄、お付き合いのあるフリーランスWebデザイナーさんが何人かいるのですが、その中には案件を何件も抱えていつも忙しそうにしている人もいれば、雰囲気的にちょっと行き詰ってるのかな…? と感じる人もいます。
ということで今回は、僕がWebディレクターという立場から見て「依頼したくなるWebデザイナー」ってどんな人か? その思考の共通点についてお伝えしていきたいと思います。
目次
仕事をとれるWebデザイナーの思考とは?
仕事をとれるWebデザイナー・とれないWebデザイナー、その間にどんな違いがあるでしょう?
僕の考えでは、スキルや才能・センスの問題ではないということです。
もちろんそれぞれのデザイナーで得意なテイストやスキルの優劣みたいなものはあるでしょうが、それがそのまま収入に直結しているわけではないと思っています。
ここでは、僕が色々なデザイナーと話して感じた「仕事がとれるWebデザイナー」の思考に共通するものをご紹介したいと思います。
01.デザインは自己表現ではない
英語の”Design”には、
- 設計する
- 計画する
- 企画する
という意味があります。
ところがこれが日本語の「デザイン」になると、「見た目をどう飾るか」という意味合いが強くなってしまいます。
そのため、デザインとアートを混同してしまったり、デザインを自己表現の場だと思ってしまう人がいるようです。
でも忘れてはいけないは、Webデザイナーが仕事をする場面には、必ずクライアントがいるということ。
クライアントから依頼を請けて仕事をするからには、クライアントの利益を第一に考えなくてはなりません。
もちろんクライアントの要望にもいろいろあるので、「Webを活用して収益をあげたい」という人もいれば「(装飾的な意味での)デザインにこだわりたい」という人もいるでしょう。
場合によっては、デザイナーの個性やセンスを最大限発揮できるような案件にも出会えるかもしれません。
でも単純に、案件の多さで言えば圧倒的に「集客したい」「収益を伸ばしたい」というようなコマース的なものが多いでしょう。
「デザインに……」と言っているクライアントでさえ、潜在的なところでは儲けにつながるようなウェブサイトを求めている場合もあります。
仕事をとるということだけで考えれば、どちらに舵をきるべきかは明らかではないでしょうか?
「見た目を飾る」こともデザインですが、「売れるための設計」をすることもデザインです。
ただ、どちらの場合でも最優先に考えるできことはクライアントの利益で、デザイナーの自己表現ではありません。
- どういう設計がもっとも収益を最大化できるか?
- どういうテイストがクライアントや商品の魅力を最大限引き出せるか?
お金をもらっている以上、それはビジネスです。
自分の能力で出し得る最大の成果を目指すべきで、誰にとっての成果かと言えば「クライアント」です。あなたではありません。
02.無料の依頼は「仕事」と考えない
人のいいデザイナーほど、友人・知人からの無料の依頼を断れません。
実績を積めるなどのメリットもあるので、無料で引き受けることも一概に否定はできませんが、報酬が発生しない以上、それは「仕事」ではありません。
しかしデザインするということは、それが有料であろうが無料であろうが同じように労力も時間も掛かるわけです。
報酬の発生しない作業に時間や力を使っていれば、当然収入に影響します。
プロであるなら、安易に無料で依頼を引き受けないことをおすすめします。
また当然ですが、友人・知人の中にはちゃんと報酬を払ってくれる人もいます。というかそれがほとんどです。
それに不思議なことに、無料で引き受けた案件ほどトラブルに発展しやすく、また、そういう人ほど臆面もなく文句を言ってきたりします。
さらに、無料の仕事から次の仕事につながることはまずありません。なぜなら、無料で依頼しようと考える人は、あなたのことをプロだと思っていないからです。
ですから他人に紹介することはないでしょうし、たとえ紹介したとしても「安くやってもらえるよ」的な迷惑なやつです。
03.価格交渉から逃げない
上の話ともリンクしますが、クライアントや元請けとの価格交渉を避けないようにしましょう。
Webデザイナーさんには、お金の話を避けたり、価格の交渉などに苦手意識を持っている人が多いように思います。しかしフリーランスとしてやっていく以上は、自分のサービスの価値・価格は自分で決めなくてはなりません。
ここをなぁなぁにしてしまうと、高い報酬を払ってくれたクライアントとそうでないクライアントとで、提供したサービスの違いがあやふやになってしまいます。
そうなれば、それは高い報酬を払ってくれたクライアントを裏切ることになってしまいます。
サービスに価格基準を設定しておき(できれば価格表を作っておく)、それに沿って見積りを出すなどの工夫をした方がいいと思います。
たまに「見積りで悩む……」と言っている人がいますが、価格基準が決まっていれば悩むことなどなくなります。
04.才能だけが評価されるわけじゃない
世の中には、クオリティの高いウェブサイトがたくさんあります。
そういうサイトを見て、自分の才能やデザインセンスに自信を持てなくなったという経験は、どんなデザイナーでもあるかもしれません。
でもWebデザインを仕事として考えた場合、なにも才能やセンスだけがWebデザイナーを評価する基準ではありません。
現代のウェブサイトには、「販促ツール」とか「集客装置」という側面が多分にあります。
そして、見た目のデザインが素晴らしいからと言って、それが販促や集客と言った観点から見て優れているかといえば別の話です。
見た目が優れていてもPVがあまりないとか、コンバージョン率が低いなんていうウェブサイトは普通にあります。
これは別の見方をすれば、デザイン的なセンスや才能とは別のスキルで十分勝負ができるということです。
- センスは生まれ持ったものじゃない
- それでも、「自分は(見た目の)デザインのよさで勝負したい」という人もいるかもしれません。
そういう人に覚えておいて頂きたいのは、「センスは後からついてくる」ということです。
偉そうに言っていますが、これが僕の言葉ではなく、デザインスクールの講師の方が仰っていた言葉です。
「センスを磨く」というように、センスは持って生まれたものではなく、自分で磨いていくものなのです。
たしかに才能は人によって生まれつき差があるものなのかもしれません。でも、センスはその人が望めば伸ばしていくことができる。
その先生は「才能2割、センス8割」とも言っていました。
今「足りていない」と感じるのなら、必死になって磨きましょう。そうすればきっと制作物のクオリティも分かってくるのではないでしょうか。
05.「なぜこうしたのか?」をすべて説明できる
- なぜ、このフォントなのか?
- なぜ、この色なのか?
- なぜ、この余白なのか?
など、仕事のとれるデザイナーさんは、すべてのデザインに理由があります。
フォントであれば、明朝体で女性らしさや読みやすさ、ゴシック体は視認性が高く見出しに適しています。
カラーもブルー系は誠実さや清潔感といった印象を与えやすく、オレンジ系は温かさや親しみやすさという印象を与えやすいです。
また、余白を十分にとることでテキストの読みやすさ(可読性)を確保したり、逆に詰めることで情報量が豊富な印象を与えることができます。
そのような各要素の性質などを知って、目的に合わせて設計していくという作業がデザインには重要ではないかと思います。
もし「なんとなく…」とか「こっちの方が好きだから」というような理由でデザインしているのであれば、一度各要素の理由を考えながら制作してみることをおすすめします。
06.常にデバイスでの表示を前提にデザインする
Webデザインが紙のデザインと大きく違う点、それは「デバイス上で表示される」ということです。
当たり前ですが、ウェブサイトはPCやタブレット、スマホなどのデバイスで見ますよね。
Webデザインでは、どんなデバイスで見てもデザインが破たんしないように設計をしていく必要があります。
さらに最近では、さまざまな画面サイズのスマートデバイスが流通しています。
そのため、そのそれぞれでどのようなレイアウトで、そのようなUIを実装するかなどをデザインに落とし込む必要があります。
仕事をとれるWebデザイナーは、このことをよく理解していて、いろいろなケースに備えてデザインを考えています。
たとえコーディングは他の人が担当するにしても、デザインの段階でそれらについてまったく考えられていなければ、ウェブサイトは作りようがありません。
無理やり対応することもできなくはないですが、その場合はやはり品質に影響してきます。
そのため、自分でコーディングをしないとしても、レスポンシブウェブデザインとはどんなものか、何ができて何ができないのかなど知っておくと、声は掛かりやすくなるでしょう。
まとめ
以上、仕事をとれるWebデザイナーに共通する6つの思考についてご紹介しました。
個人的に思うのは、「どんな」デザイナーになりたいのかをはっきりさせていくことが大切なのではないかということです。
デザイナーになりたくてなったのは、みんな一緒。
だからこそ、その上で「他のデザイナーとどう違うのか?」ということを掘り下げて考え、他人に伝わるように形にしなければならない。
それができれば、きっとあなたのデザインを好きになってくれて、長く付き合っていけるクライアントやフリーランス仲間に出会えます。