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【ブルーオーシャン戦略】コストダウンと差別化で未開拓の市場を見つけ出す方法【バリューイノベーション】

2019.12.07 2020.06.25 マーケティング
【ブルーオーシャン戦略】コストダウンと差別化で未開拓の市場を見つけ出す方法【バリューイノベーション】

「ブルーオーシャン」ってよく聞きますよね?

多くの場合「未開拓の市場」というような意味合いで使われるわけですが、文脈によってはちょっと誤解しやすいこともあります。

ということで今回は、このブルーオーシャンについて、その意味と戦略として活かす方法について掘り下げていきたいと思います。

コストダウンと差別化を両立させるブルーオーシャン戦略とは?

「ブルーオーシャン」とは、世界的ビジネススクールINSEADの教授であるW・チャン・キムとレネ・モボルニュが共著『ブルー・オーシャン戦略』の中で提唱した経営戦略論です。

ブルーオーシャン戦略では、血で血を洗うような競争の激しい市場のことを「レッドオーシャン」と定義し、それに対して

既存市場の外にあり、競争の存在しない市場

のことを「ブルーオーシャン」としています。

ブルーオーシャン戦略とは文字通り、この「ブルーオーシャン」を見つけ出し、そこでビジネスを展開する戦略のことを言います。

ニッチ戦略・差別化戦略との違い

ブルーオーシャン戦略は、よく「ニッチ戦略」「差別化戦略」と混同されるケースがありますが、これらには明確な違いがあります。

ニッチ戦略は既存市場を細かく分割し、その中からライバルが参入しづらい小さな市場を見つけ出すというものです。

また差別化戦略は、既存市場の中で機能・性能などによって商品に「違い」を生み出し、優位性を獲得していこうというものです。

それに対してブルーオーシャン戦略は、既存の商品・サービスをコストと価値の両面から見直し、既存市場とはまったく別のところに大きな市場を見つけ出そうという戦略です。

ニッチ戦略や差別化戦略は、ポーターやコトラーの「低コストと高付加価値は両立しない」という考え方を前提をしています。

しかしブルーオーシャン戦略では、業界の常識にとらわれない発想・視点により、その両立を目指します。

そして「低コストと高付加価値を両立させること」を、「バリューイノベーション」と言います。

バリューイノベーションがブルーオーシャン戦略の鍵を握る

バリューイノベーション

ブルーオーシャン戦略を成功させるには、バリューイノベーションを実現することが不可欠になってきます。

そのために、既存の商品・サービスから「取り除く・減らす」ことによるコストダウン、「増やす・付け加える」ことによる価値の向上を考えていきます。

この、

  • 取り除く(Eliminate)
  • 減らす(Reduce)
  • 増やす(Raise)
  • 付け加える(Create)

の4つを軸にバリューイノベーションを考えるフレームワークを「アクション・マトリクス」とか「ERRCグリッド」「4つのアクション」などと呼んだりします。

アクション・マトリクス

繰り返しになりますが、常識にとらわれているとコストダウンと価値の向上の両立は難しくなります。

逆に言えば、従来の常識とは別の視点で考えることができれば、従来とは別の顧客ニーズにハマるよう、既存の商品・サービスを生まれ変わらせることができるというわけです。

ブルーオーシャンを見つけ出す2つのフレームワーク

ブルーオーシャンを見つけ出すには「アクション・マトリクス」の考え方が土台になりますが、それに別のフレームワークを組み合わせることで、より具体的なアイディアに落とし込むことができます。

ここでは、そのためのフレームワークを2つご紹介します。

戦略キャンバス

戦略キャンバス

「戦略キャンバス」とは、業界の競争要因をピックアップし、自社や競合が各要因にどれくらい注力しているかを視覚化するフレームワークです。

上図のように横軸は競争要因を、縦軸は自社や競合、または業界全体の各要因に対する注力状況を示しています。

「戦略キャンバス」を活用することによって、

  • 既存市場が顧客にどんな価値をどの程度提供しているか?
  • 自社や競合がどの要因で優位を取っているのか?

が可視化されます。

もし自社のグラフが業界全体を示すグラフと形が似通っていた場合、差別化がされていないと考えられます。

また各競争要因において、自社のグラフの数値が競合よりも低い場合、その要因では競合に後れを取っていることになります。

ここに「アクション・マトリクス」を組み合わせ、

  • 「取り除く・減らす」ことでコストダウンできる要因はないか?
  • 取り除いてしまえる競争要因はないか(=顧客ニーズの低い要因はないか)?
  • 大きく注力することで価値を高められる要因はないか?
  • これまでに提供されていない新しい価値を付加することはできないか?

を検討していきます。

「戦略キャンバス」の事例としてよく挙げられるのが、QBハウスとシルク・ドゥ・ソレイユです。

QBハウスは予約や担当指名などのシステムを廃止、サービスをカットのみに特化することで、待ち時間の短縮と低料金化に成功しました。

その結果、「サッと立ち寄ってパパっと切ってほしい」という従来の美容院ではカバーできなかった顧客層を獲得することができました。

またシルク・ドゥ・ソレイユは従来のサーカスにあった動物ショーや花形パフォーマーの起用をやめ、エンターテインメント性や芸術性に力を入れました。

その結果、動物愛護団体への対応や花形パフォーマーへの報酬などのコストをカットし、エンターテインメント性・芸術性によって高価格路線へ舵を切ることに成功しました。

戦略キャンバスは競争要因が主観的になりやすい

提唱者の書籍『ブルー・オーシャン戦略』の中でも紹介されており、ブルーオーシャン戦略とセットで語られることの多い「戦略キャンバス」ですが、実際の現場では使いづらいケースがよくあります。

というのも、戦略キャンバスの横軸に配置する競争要因が主観的なものになりやすく、「ピックアップした要因が顧客ニーズを分析するのに本当に適しているのか?」という点において明確な答えがないからです。

先に挙げたQBハウスやシルク・ドゥ・ソレイユの事例でも、「戦略キャンバス」は“結果”を当てはめて視覚化するのには便利ですが、そこに“原因”から考えてアプローチするのはなかなか難しいと言わざるを得ません。

そのため最近では「戦略キャンバス」のほかに、次に紹介する「6つのパス」というフレームワークを用いることが多くなっています。

6つのパス

バリューイノベーションを実現するには、業界の常識にとらわれず、まったく別の視点から発想することが重要です。

しかし漠然と考えても、なかなか効果的なアイディアは浮かんできません。

そこで着眼点のヒントとなるのが、「6つのパス」というフレームワークです。

「6つのパス」は、

  1. 代替品
  2. 競合
  3. 顧客
  4. 補完財
  5. 価値
  6. 未来

の6つの視点から商品・サービスの競争要因を洗い出し、「アクション・マトリクス」と組み合わせることでブルーオーシャンを見つけ出そうという方法です。

代替品

自社商品に対して顧客が求める価値と、同等の価値を提供する別の商品や業界から発想します。

  • 弁当屋にとってのコンビニ
  • テレビ業界にとってのYoutube
  • デジカメにとってのスマートフォン
  • CD・DVDにとってのデジタルコンテンツ

などです。

それら代替品の戦略を「アクション・マトリクス」と組み合わせ、

  • 代替品が取り除くことでコストダウンを実現しているもの
  • 代替品が減らすことでコストダウンを実現しているもの
  • 代替品が大きく注力することで価値を向上させているもの
  • 代替品にあって、自社商品や自社の業界にないもの

を考えてみましょう

競合

自社と同じ業界内にいる競合やその商品です。

  • 競合が取り除いていて、自社がまだ持っているもの
  • 競合が減らすことでコストダウンを実現しているもの
  • 競合が注力することで価値を向上されているもの
  • 競合にあって、自社や自社商品にないもの

を考えてみましょう。

顧客

自社商品がターゲットとする顧客に近しい存在、影響を与えている存在に目を向けます。

学習塾や予備校は子どもが通うものですが、お金を払うのは両親です。

また女性向けアクセサリーでも、プレゼント用などで購入するのは男性の場合があります。

そこを取っ掛かりとして、「取り除く・減らす・増やす・付け加える」ことで、ターゲットに近しい存在にとってメリットとなるものはないかを考えていきます。

補完財

自社の商品と相互に補完して価値を提供する商品や業界に目を向けます。

  • パソコンと通信回線
  • スマートフォンとケース・カバー
  • コーヒーと砂糖
  • カレールーとジャガイモ・ニンジン

のような関係です。

補完財に目を向けることで、

  • ニーズがないのにコストを掛けている要因はないか?
  • ニーズがあるのに提供できていない価値はないか?

が見えてきます。

価値

自社商品が提供している価値を転換できないか? というところから考えてみます。

ある飲食店が「早い・安い」という価値を提供しているとしたら、「うまい・雰囲気がいい」という価値の提供に転換することで別の客層にリーチできる可能性が出てきます。

ワークマンプラスが作業服に「デザイン性」という価値を付加することで、新しい顧客層を獲得したのも「価値の転換」の好例と言えるでしょう。

未来

法律や景気、流行や新しい技術の登場などの外部環境(マクロ環境)から未来を予測し、そこから新たな顧客ニーズを探ります。

  • 今後なくなると予想されるニーズはないか?
  • 将来的に重要度が低くなる競争要因はないか?
  • 今後ニーズが増えると予測される要因はないか?
  • 今まではできなくて、今後できるようになることはないか?

法律が分かったり、新しい技術が開発されることにより、これまでできなかったことができるようになったり、逆にこれまでできていたことがルール上できなくなったりします。

それにより生まれる新しい市場をいち早く見つけることができれば、将来的にその市場で大きなシェアを獲得できるでしょう。

まとめ:ブルーオーシャン戦略は難易度高めです

以上、ブルーオーシャン戦略についてまとめてみました。

お気づきの人もいると思いますが、ブルーオーシャン戦略は比較的難易度高めです。

自分ではコントロールしようのない外部環境も大いに関係してくるため、ブルーオーシャンを見つけることができない場合も往々にしてあります。

また運よくブルーオーシャンを見つけることができたとしても、その後どんどん競合が参入してくることは間違いなく、そうなれば商品・サービスの同質化が進み、シェアを確保することが難しくなっていきます。

というのも、ブルーオーシャンを見つけること自体は難しいかもしれませんが、それを真似て同じ市場に参入することが難しいとは限らないからです。

そうなれば、市場が成熟していくに従って既存市場と同じくシェアの奪い合いから、最後にはレッドオーシャンへとなっていきます。

つまり、ブルーオーシャンさえ見つければビジネスの成功が保証されるわけではなく、そこからまた新たな戦いが始まるにすぎないわけです。

とはいえバリューイノベーション、そしてそこから生まれるブルーオーシャンは企業だけでなく、顧客にも大きなメリットをもたらす可能性があります。

はじめから諦めてしまわず、いつもチャンスをつかめるよう用意しておきたいものです。