【金なし・コネなし・スキルなし】勢いでフリーランスになって、見事失敗した話

東京・大田区にある家賃6万円の部屋に住み、肉体労働者だった28歳の頃。
金なし・コネなし・スキルはほんの少しという状態で、勢いにまかせてフリーランスになりました。
趣味のレザークラフトをネット販売するためにHTMLとCSSを独学しただけ、デザインソフトはGIMPというフリーソフトだけ。
今考えれば無計画にもほどがありますが、当時はそれでも根拠のない自信がありました。
今回は、勢いだけでフリーランスになった僕の失敗談、そしてそこから学んだことについてお話ししたいと思います。
目次
勢いでフリーランスになって、見事失敗した話
フリーランスになったばかりの頃、僕には数か月独学したHTMLとCSSのコーディングスキル、そして覚えたてのWordPressしかありませんでした(とはいえ、既存テーマをカスタマイズできる程度)。
デザインソフトに至ってはAdobe製品は高くて手が出ず(当時月収15万)、GIMPというフリーの画像編集ソフトを使って制作していました。
今ほどクラウドソーシングサイトが一般的ではなく、フリーランスが案件を探すなら@SOHOという仕事マッチングサイトをみんな使っていました(と思う)。
ということで僕もご多分に漏れず、@SOHOで案件探しを始めました。
今ではだいぶ廃れた印象ですが、当時の@SOHOは掲載案件数も多く、様々なレベルの案件が充実していました。
その中から僕は、とりあえず自分にもできそうな案件に片っ端から応募してみました。
低単価の案件で消耗する日々
とはいえスキル自体がないわけですから、Web制作会社からのごく簡単なコーディング案件とか、ネットショップの商品画像を大量に登録する作業とか、そんな仕事ばかりだったように思います。
たまにデザインからサイト丸ごと制作できる案件を受注できたとしても、こちらが雑魚なこと丸出しだったので、足元を見られたりすることもよくありました。
もちろん丁寧に対応してくれる担当者の方もいたのですが、こちらのスキルがないだけでなく、サイト制作の全体的な流れも理解できていなかったため、迷惑をかけることも多々ありました。
こうやって書き出してみるとよくわかりますが、こんなフリーランスにニーズがあるわけないですよね。
あるとしたら使い捨て要員でしょう。
スキルの必要ない、単純かつ大量の作業を依頼するにはちょうどいい仕上がりです。
実際にそういう内容の案件ばかり声が掛かりました。
寝る以外はすべて仕事、だけどお金にならなくて生活はギリギリ。
そして1年も経たないうちに心身共にボロボロになり、東京の部屋を引き払い地元に逃げ帰ったわけです。
期間工生活中に、改めてWebデザインを勉強する
地元に戻ったあと、しばらくはニートのような生活をしていました。
学生時代の友達も何人かは地元に残っていたのですが、気まずくて連絡できず。
完全に引きこもりのような生活をしていました。
しかしある日ふと目にした求人広告で、自動車工場の期間工の募集を見つけました。
僕の地元は自動車で有名なんですが、子どもの頃に何度か期間工について聞いたことがありました。
「寮と工場を往復して工場で重労働をさせられる」みたいなイメージで、子どもだった僕は「そんな生活したくないな」と思ったものでした。
しかしフリーランスに失敗して逃げ帰った僕には、残された選択肢はあまり多くありませんでした。
すぐに応募して集団説明会みたいなのや健康診断などを経て、半月後くらいには工場に配属されたような記憶があります。
ものすごい重労働を覚悟していましたが、フタを開けてみれば体力的にはそうでもありませんでした。
それよりも(当たり前ですが)規格が細かく決まっていて、不良を出さないように注意するので精神的な疲れの方がきつかったです。
2交代制で週替わりだったので、週ごとに日勤→夜勤→日勤、みたいな生活でした。
慣れるまでは大変でしたが、慣れればフリーランスの頃よりも自由な時間が取れました。
そのため再びフリーランスに挑戦するために、期間工で稼いだお金で改めてWebデザインを勉強することにしました。
さすがに学校に通う余裕はなかったので、Webデザインの通信講座に申し込み、その講座の特典か何かでAdobe製品も安く手に入れることができました。
独学で穴だらけだった知識が少しずつ「使える」レベルになり、またそれまで知らなかった制作のコツやデザインのセオリーなんかも学ぶことができました。
結局、期間工は半年、通信講座はもう少し長かったと記憶していますが、どちらも無事やりきることができました。
この期間は仕事と勉強しかしていなかったので、期間工で稼いだお金はほぼ丸々残っていました。
しかも期間工は期間を満了すると「期間満了金」というお金がもらえるので、それを合わせると1年弱ほど暮らせるくらいの金額になりました。
再びフリーランスへ
期間工と通信講座を終え、僕は再びフリーランスとして活動を開始しました。
学んだことは確実に糧になっていて、受注できる仕事の幅は格段に広がりました。
以前は@SOHOに掲載されている案件の内容を読んでも、何言っているのか分からないことがよくありました。
しかしこのときには、クライアントがどんなサイトを欲しがっているのかとか、そしてどのようにすればそれが作れるのかをイメージできることが多くなりました。
また通信講座と並行して、WordPressとjQueryについて独学していたのも大きかったと思います。
できそうな案件はどんどん応募し、受注できたものは必死こいて作りました。
もちろん分からないこともたくさんあるので、調べながら制作したりしていました。
そうして@SOHOでつながったWeb制作会社さんから継続して仕事を振ってもらえるようになり、それを地道に繰り返していたら、いつの間にか生活できるようになっていたという感じです。
失敗によって得られる経験値はとんでもなく高い
勢いでフリーランスになり失敗はしましたが、期間工を経てなんとかフリーランスで食べていけるようになりました。
とはいえ、二度目の独立以降もたくさん失敗してきました。
クライアントにこっぴどく怒られたこともあるし、信頼していたビジネスパートナーとの関係がこじれて、大口の取引先を失ったこともあります。
それでもめげずに続けて来れたのは、自分に足りないところを埋めるために必死に頑張った時間があったからかな、と思っています。
そして「自分に何が足りなくて、今何をすべきか?」というのは、失敗したからこそはじめて分かったというのも事実です。
『勢いで「フリーランス」になるバカの末路』なんて記事もあるくらい、勢いだけで行動を起こすのは頭のよくない人がやることだというのが普通の考えです。
しかし、一個人が独立して失敗したところで、実はリスクなんてたかが知れています。
失敗することで得るものって確実にあるし、むしろ失敗による経験値って成功したときよりも高いのではないかとさえ思います。
一番のリスクは勢いに任せて行動することではなく、失敗を恐れて何もしないことです。
ありきたりな言葉ではありますが、やはりこれは真実なような気がしています。